小林製薬は、「“あったらいいな”をカタチにする」という理念のもと、
さまざまな分野で製品の研究開発を進めています。
漢方領域では、伝統素材の可能性を科学的に検証し、
現代のライフスタイルに合った形で製品化を図っています。
研究開発は、大阪府茨木市の中央研究所を中心に、北海道や高知県など各地で展開。
人々の健康と快適な暮らしに貢献することを目指しています。
女性の不定愁訴に関して、約7万人のアンケートより、多岐にわたる症状をクラスター分析で症状変化を可視化しました。また「イライラ」の心理的背景を深掘りし、ライフステージと共にその背景が変化することが判明しました。本研究は、女性が自身の症状を客観視し、適切な対処を選択する一助となることを目指しています。
水沼賞は、「日本女性医学学会雑誌」に掲載された原著論文の中から当該年度の最優秀論文に授与されるもので、民間企業の担当者が筆頭著者として受賞するのは、2021年度に設置以来、2023年度が初めてです。
漢方薬の防風通聖散(BTS)は、高脂肪食を与えた加齢マウスにおいて、若齢マウスよりも顕著に体重増加、内臓脂肪および皮下脂肪の蓄積を抑制しました。また、2ヶ月間の投与で肝臓への脂肪滴蓄積が減少し、血清肝機能マーカーも改善しました。BTSは褐色脂肪組織でのUCP1のmRNA発現を増加させ、肝細胞レベルでも脂肪蓄積を抑制しました。これらの結果から、BTSは加齢に伴う肥満およびメタボリックシンドロームの予防・改善に有用である可能性が示されました。
「Journal of Natural Medicines 論文賞」は、国際学術誌『Journal of Natural Medicines』に掲載された優れた研究論文を顕彰する賞です。毎巻ごとに、掲載論文の中から選考委員会により約3編が選出され、同賞が授与されます。この賞は、天然物医薬品や関連食品・化粧品に関する研究の質を高め、学術的貢献を促進することを目的としています。
女性は更年期以降の閉経期にも女性ホルモンの減少に伴う不調が現れるとされており、それらの症状に対する生薬製剤の改善効果を検討しました。更年期以降の女性が本剤を服用することで、自律神経の乱れからくる症状の改善やサルコペニアの予防・改善効果を示した可能性が示唆されました。
女性特有の更年期に見られる様々な不快な症状(不定愁訴)に対する生薬製剤の有効性を検討しました。服用前、1、4、8週間後の4点で評価したところ、更年期症状評価表(CSC)の22症状すべてにおいて改善がみられ、特に精神的な不調や自律神経の乱れからくる症状に有効であることが確認されました。
尿漏れに用いられる「八味地黄丸」の作用メカニズムを研究しました。腹圧性尿失禁モデルラットにおいて尿漏れを改善する効果が確認され、ダメージを受けた骨盤底筋の回復を促進することが示唆されました。八味地黄丸は骨盤底筋を修復し、尿道を閉じる力を高めることで尿失禁を改善していると考えられます。
肥満症に用いられる3種の漢方薬(防風通聖散、防已黄耆湯、大柴胡湯)が女性ホルモンに及ぼす影響と脂肪蓄積抑制効果を検討しました。結果、これらの漢方薬がホルモンバランスを整え、体脂肪の蓄積を抑制する可能性が示唆され、肥満症治療における漢方の有効性が示されました。
月経前症候群(PMS)などでみられる精神症状に対する生薬製剤のメカニズムに関する研究です。PMS精神症状の評価に汎用されるPWDモデル動物に検体を投与したところ、GABAA受容や5-HT3受容体シグナル増強がみられ、複数の作用を介して症状に働きかけることが明らかとなりました。
一般用漢方製剤「防風通聖散エキス錠」を肥満傾向の男女に12週間投与した結果、体重、BMI、体脂肪率、ウエスト周囲径、特に内臓脂肪面積が減少しました。この効果は男性でより顕著でした。また、脂質燃焼量の増加と糖質燃焼量の低下が観察され、安全性も確認されました。本剤は肥満症の予防・改善に有用である可能性が示唆されました。
漢方薬の防風通聖散(BTS)を高脂肪食負荷マウスに投与し、脂質とコレステロールの糞便中への排泄促進効果を評価しました。その結果、BTS投与群では体重、内臓脂肪、血清トリグリセリドなどが有意に低下し、糞便中の脂質・コレステロール量が増加しました。 また、Caco-2細胞においてコレステロールの取り込みを抑制しました。 これらからBTSは脂質排泄促進とコレステロール吸収抑制により抗肥満効果を示すことが示唆されました。