安心・安全への取り組み生薬・試験栽培

SOURCING

良質な生薬を確保するために、
信頼できる調達ルートを形成しています。

継続して服用されることも多い漢方薬を安定して製造するためには、生薬を持続的に仕入れることが重要になります。「安心してご利用いただける漢方薬を」という小林製薬の想いを叶えていただける生産者の皆さまやパートナー企業と連携し、厳しい品質管理のもと生薬を調達しています。

また、生薬の調達などを海外に委託している製品もあります。例えば「ナイシトール」は、小林製薬グループの「合肥小林薬業」が担っています。中国の工場と綿密に情報を共有し、品質管理を徹底。生薬の本場に拠点を持つことで、品質変化にも素早く対応ができる体制を整えています。

信頼できる調達ルートを広く形成することで、良質な生薬の安定調達を実現しています。

QUALITY

生薬の試験栽培を行い、
安定した国内生産を
目指しています。

薬用植物(生薬)も農作物のひとつ。化学合成品とは異なり、土壌環境や天候などによってどうしても品質に差が生じます。特に、ばらつきがでやすい生薬については、厚生労働省が定める規格基準書「日本薬局方」に適する医薬品の原料として、安定した品質を確保することが求められます。

小林製薬では、品質にムラが生じやすい薬用植物を対象に試験栽培を実施。栽培条件や土壌環境が与える影響を詳細に調査しています。

さまざまな薬用植物の栽培に適した環境を特定して産地の選定に繋げ、加工技術なども向上させて国内での生薬の生産拡大を目指しています。

CASE STUDY

取り組み実例

#01

カノコソウの
生産農家支援(北海道)

小林製薬では、北海道名寄市ほかで「命の母A」の主要原料でもある「カノコソウ」の生産を積極的に支援しています。カノコソウは根が細く複雑に絡んでしまうため、生薬として使用するには土を念入りに除去し洗浄する必要があります。また、同じ場所で栽培を続けると生育が悪くなりやすいため、注意を要する薬用植物(生薬)です。

手間暇がかかるカノコソウの栽培を広めるためには、作業の効率化が欠かせません。私たちは官・民・生産者の協働に参画して農業機械や洗浄装置の開発を支援し、生産者の皆さまの生産向上を後押ししています。

安定的な国産生薬の調達と、地方創生。このような取り組みを通じて、持続可能な成長と社会的な責任を果たすことを目指します。

カノコソウ
オミナエシ科に属する多年草で、生薬名は「吉草根」。日本では医薬品の規格基準書「日本薬局方」の初版から掲載されており、古くから活用されてきた。カノコソウの根と根茎が生薬として活用され、独特の強い香りが特徴。
作業の流れ
#02

地方創生としての
生薬研究(高知県)

高知県立牧野植物園 提供

近年、ニーズが高まっている国産生薬を、地方創生に繋げたい。そんな小林製薬の想いを叶える「包括連携協定」が、高知県との間で結ばれています。高知県は、「日本の植物分類学の父」牧野富太郎博士の故郷。業績を顕彰し開園された広大な「高知県立牧野植物園」があります。小林製薬は、2016年からこの牧野植物園と共同で薬用植物(生薬)の試験栽培・加工研究に取り組んでいます。園内の「ジョイントラボ」を拠点に、園内や東豊永地区(長岡郡大豊町)ほかの10ヶ所で試験栽培を実施。「ナイシトールZ」や「命の母A」に使用される薬用植物も試験栽培しています。

※ジョイントラボ:共同研究施設
試験栽培に取り組んでいる薬用植物
  • 「ナイシトールZ」に使用される薬用植物
    クチナシ(生薬名:サンシシ)、トウキ、シャクヤク、シナマオウ(生薬名:マオウ)、オケラ(生薬名:ビャクジュツ)、ウラルカンゾウ(生薬名:カンゾウ)
  • 「命の母」に使用される薬用植物
    トウキ、シャクヤク、ホソバオケラ(生薬名:ソウジュツ)、ゴシュユ、ウラルカンゾウ(生薬名:カンゾウ)
産地化への歩みが、地方創生へと続く。

試験栽培を行う東豊永地区は、標高や水はけ、土壌など状態が異なる農地が多く、環境の違いによる生育差が検証できる絶好の地域。これらの土地を中心に、高知県を生薬の産地にすることを目指しながら、栽培のノウハウを蓄積しています。また、棚田で栽培する「トウキ」の葉はブレンドティーやクッキーなどに加工され、ご当地の味にもなっています。生薬の研究や栽培を通じて、人口減少や耕作放棄地増加などの問題を抱える東豊永地区における農地の保全や産業の創出など、地域の活性化に繋がるよう取り組みを続けます。

国産化の礎となる、ジョイントラボでの研究。

薬用植物の加工(洗浄・乾燥)は、生薬の品質を安定させる重要な工程です。ジョイントラボでは、試験栽培で収穫した薬用植物を利用し、最適な加工方法を探究しています。さらに、収穫地ごとに有効成分の含有量を測定し、栽培状況による成分含有量の違いなども分析。結果は小林製薬の漢方チームと共有して、生薬の国産化のための基礎を築き、国内での安定生産につなげるために、研究を続けています。

  • 東豊永地区の広大な怒田圃場
    東豊永地区の広大な怒田圃場
  • 東豊永地区 西川圃場 「命の母A」にも使われているホソバオケラの試験栽培
    東豊永地区 西川圃場
    「命の母A」にも使われているホソバオケラの試験栽培
  • 東豊永地区 西川圃場
    東豊永地区 西川圃場
    「命の母A」にも使われているゴシュユの試験栽培
  • 東豊永地区 大平圃場(夢来里) 地元の方との共同作業の様子
    東豊永地区 大平圃場(夢来里)
    地元の方との共同作業の様子
  • 生薬として使用するトウキの根
    生薬として使用するトウキの根
  • 植物研究交流センター内のジョイントラボ
    植物研究交流センター内のジョイントラボ
  • 収穫した薬用植物は研究所で乾燥・加工・分析
    収穫した薬用植物は研究所で乾燥・加工・分析
高知県立牧野植物園 提供
高知県立牧野植物園 提供
高知県立牧野植物園
朝ドラでも脚光を浴びた「日本の植物分類学の父」牧野富太郎博士。その功績を広く伝えるために、1958年に開設。3000種類以上の植物が四季を彩る。植物の保全と研究、教育普及、そして人々の憩いの場として愛される歴史ある総合植物園。

生薬と地域の未来のために

小林製薬が挑戦している、
漢方薬の品質を支える生薬の国産化に向けた取り組みは、
地方活性化や地域社会の未来を見据えた重要な一歩です。

社員一人ひとりの熱い想いが、今日の挑戦を支え、
明日の革新を生み出す原動力となっています。

これからも小林製薬は、社会の課題を解決し、
未来を切り拓く研究を加速させていきます。
私たちは歩み続けます。